第1回レッサーパンダって「パンダ」なの?

大牟田市動物園は、福岡県西部にある小さな動物園です。入り口から徒歩20分。園の一番奥にあるレッサーパンダ舎で、「まい」(5歳、メス)と「レン」(10歳、オス)のペア、高齢の「ソラ」(16歳、メス)の3頭が暮らしています。まずはレッサーパンダがどんな動物なのか聞きました。

—ボルダリングのことなどいろいろとお伺いしたいのですが、まずはレッサーパンダのことを教えてください。
河野さん レッサーパンダは、ネコ目(食肉目)に分類されるのでネコの仲間です。でも食肉目にはイヌやライオンなども含まれるので、かなりざっくりとした分け方ですね。細かく分類するとレッサーパンダ科で、シセンレッサーパンダとネパールレッサーパンダの2種類がいます。
—体の毛がふわふわしています。
河野さん 中国やネパールの数千メートルの高山にくらす動物です。寒いところで体温を保つために、短い毛と長い毛がある二層構造になっています。外から見えるのは長い毛ですね。デザインがアクセサリーにもなる長い尻尾は、マフラーにして体を温めたり体のバランスをとったりするのに使います。レッサーパンダはこの毛皮をねらった密猟や森林の開発で数が減り、絶滅危惧種に指定されています。
長いふさふさのしっぽ

長いふさふさのしっぽ

—「パンダ」といえばジャイアントパンダですが、レッサーパンダと関係はあるのですか。
河野さん 古くは「パンダ」といえばレッサーパンダでした。
東京・上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」

東京・上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」

—えっ。
河野さん レッサーパンダはおもに竹の葉を食べる動物です。生息地の人たちの「竹を食べる」という意味の言葉がなまって、「パンダ」と呼ばれるようになったと言われています。その後に、同じように竹を食べる、白と黒の大きな動物が発見されました。小さい方が「レッサー(lesser)」、大きい方が「ジャイアント(giant)」になりました。名前の付け方は単純ですね(笑) いまではジャイアントパンダの方が人気で、パンダといえばジャイアントの方をさすようになりました。
—そういえば、レッサーパンダが「立つ」とパンダ以上?に話題になった時期がありました。
河野さん 千葉市動物公園の「風太」ですね。話題になったのは、僕が中学生の時で、自分もびっくりしました。動物の勉強を始めてから、レッサーパンダは蹠行性(しょこうせい)といって、人と同じように足の裏を全部地面につけて歩くので、立つことは体の構造としては当たり前のことだと知りました。ちなみに、大牟田市動物園にいる「まい」は風太の孫にあたります。
—日本で飼育されているレッサーパンダについて教えてください。
河野さん 国内のレッサーパンダのほとんどがシセンレッサーパンダです。世界の飼育数は350頭ほどで、日本が8割をしめています。ネパールレッサーパンダを飼育しているのは、国内では静岡県の熱川バナナワニ園だけです。
—日本は「シセンレッサーパンダ」大国なんですね。
河野さん 繁殖が順調に進みました。絶滅危惧種に指定されていることもあり、「種の保存」(動物園の役割の一つで「動物の命をつなげること」という意味)の面で日本の役割は大きいです。一方で、課題も抱えています。一つは、同じ血統のレッサーパンダが増えていることです。解決するために日本の動物園間で「引越し」をしてお見合いをしたり、海外の動物園から導入したりして、血縁の偏りを防ぐための取り組みをしています。もう一つの課題は、動物園の飼育スペースの都合で、飼育頭数が頭打ちです。大牟田市動物園でも寝室が3部屋しかなく、成獣では3頭の飼育でいっぱいです。
大牟田市動物園の飼育係、河野成史さん

大牟田市動物園の飼育係、河野成史さん

(「第2回 世界でもめずらしい「ボルダリング」を始めたわけ」に続きます。データなどは記事公開時点の情報です。)

河野さんのプロフィール

1991年12月21日、山口県下関市生まれ。山口県立農業高等学校から福岡ECOコミュニケーション専門学校(現:福岡ECO動物海洋専門学校)へ進学。2011年11月に岡山市の池田動物園に就職。2014年8月から大牟田市動物園へ。現在はキリン、レッサーパンダ、オオカンガルー、カピバラ、ケヅメリクガメなどを担当。動物の行動に関する研究やトレーニングによって得られるデータを活用できる研究などにも力を入れる。趣味は動物園巡り。子どもの頃の夢は牧場で働くこと。

福岡・大牟田市動物園

大牟田市に戦前の1941年開園しました。92年度には40万人を超えた来園者数もその後右肩下がりとなり、2000年代には13万人台まで減り、閉園が検討されたこともありました。近年は「動物福祉を伝える動物園」というポリシーの下、動物の豊かな暮らしを実現するための工夫が話題になり、17年度は入園者数が24万人を超えるまでのV字回復を果たしています。

所在地: 〒836-0871 福岡県大牟田市昭和町163番地
電話: 0944-56-4526
FAX: 0944-56-9551
メール: zoo@jupiter.ocn.ne.jp
ホームページ: http://www.omutazoo.org

福岡・大牟田市動物園

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ハピズーでは、大牟田市動物園とコラボして、飼育されているレッサーパンダをモデルにしたグッズを制作しました。大牟田市動物園で販売し、売り上げの一部は動物たちの飼育に役立てられます。

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