第1回結核を乗り越え21歳のバースデー【前編】

誕生日のお祝いのフルーツを食べるふくちゃん

誕生日のお祝いのフルーツを食べるふくちゃん

ふくちゃんは2001年4月28日、推定3歳でボルネオ島から福山市立動物園にやってきました。来園日に合わせた誕生日会は、園の恒例行事です。今年は結核からの回復を願って開発された、世界でただ一つの大型のエンリッチメントアイテム「ごろごろローラー」のプレゼントも行われ、県内外から100人以上のお客さんがふくちゃんを祝いました。

ふくちゃん21歳の誕生日おめでとう!

29日午前、ふくちゃんは二つある運動場のうち、東側の運動場にいました。飼育の担当者から口の健康チェックを受けたり、運動場にまかれたサトウキビを食べたり。ゆったりとした時間を過ごしていました。

一方、隣の運動場では午後1時から始まる誕生日会用のフルーツやごろごろローラーが設置され、人もどんどんと増えていきます。「いつもと何か違う」。ふくちゃんはこう感じたのでしょうか。時間とともに落ち着きがなくなり、飼育係がなだめるシーンも。実はふくちゃん、お客さんの大きな声や音、知らないものが運動場にあることを嫌がるのです。

朝は誕生日会場の反対の運動場で過ごしていたふくちゃん

朝は誕生日会場の反対の運動場で過ごしていたふくちゃん

ふくちゃんの口の状態をチェック

ふくちゃんの口の状態をチェック

大人からも子どもからも人気のふくちゃん

大人からも子どもからも人気のふくちゃん

ファンから届いたフルーツを並べ、誕生日会の準備が着々と進みます

ファンから届いたフルーツを並べ、誕生日会の準備が着々と進みます

29日午後1時前、ふくちゃんは誕生日会場の西側の運動場へ。「21才」と彫られたスイカ、メロン、バナナ、リンゴ、マンゴー、ザクロ、ドラゴンフルーツ・・・・。高級で甘そうなフルーツがずらりと並びます。どれもファンからふくちゃんにと届けられたものです。

大勢のお客さんを前に興奮気味のふくちゃん。飼育係とふくちゃんはもう一度、体を寄せ合いました。お互いの絆を確かめ合うように。

ふくちゃんの鼻をぎゅっとする飼育係

ふくちゃんの鼻をぎゅっとする飼育係

飼育係とふくちゃんは強い絆で結ばれている

飼育係とふくちゃんは強い絆で結ばれている

さあ、誕生日会がスタート。司会役の飼育担当・井亀徹さんは「最初にごはんに行くのか、遊具に行くのか注目です」と話しました。

ズンズンズンズン。ふくちゃんが向かったのはフルーツでした。4歩で到達し、迷わずにバナナを1房丸ごと口に入れました。次に選んだフルーツもまたバナナでした。

「普段から食べ慣れているものを最初に選びましたね」(井亀さん)

残りのフルーツもペロリと一気に食べるのか……と思いきや、ふくちゃんはごろごろローラーの方に体を向けて歩き出しました。

誕生日会の司会をするふくちゃん飼育担当の井亀徹さん

誕生日会の司会をするふくちゃん飼育担当の井亀徹さん

まずは食べ慣れたバナナから

まずは食べ慣れたバナナから

2房目のバナナを持ったまま向かったのは・・・

2房目のバナナを持ったまま向かったのは・・・

気になっていたごろごろローラー

気になっていたごろごろローラー

鼻で前へ転がしては手前に引いたり、つながっているチェーンを鼻で引っ張ったり。ごろごろローラーは、転がすとえさが出てくる構造になっています。この仕組みを試作品で学習していたふくちゃんは、誕生日会に合わせて用意された「完成品」も同じように動くことを確認し、中から出てきた黒糖や落花生を拾って食べました。

「同じえさを運動場にまいて食べてもらうこともできますが、わざと取りにくくして、時間をかけて食べてもらうことに力を入れています。野生とは違い、ふくちゃんは限られたスペースで過ごしています。退屈な時間を減らし、心身ともに健やかに過ごしてほしいと願っています」(井亀さん)

200キロある遊具を鼻でごろごろ

200キロある遊具を鼻でごろごろ

中のフィーダー(えさ入れ)から落花生や黒糖が出てきます

中のフィーダー(えさ入れ)から落花生や黒糖が出てきます

大勢のお客さんの前でごろごろして遊ぶふくちゃん

大勢のお客さんの前でごろごろして遊ぶふくちゃん

そのあとは、フルーツとごろごろローラーの間を行ったり来たり。口に入りきらないスイカは足でふみつぶし、鼻でフルーツを一つずつ器用ににぎって食べ、ごろごろローラーの方へと移動していました。

誕生日会は20分ほどで終了しました。ふくちゃんのストレスを最低限にするため、できる限り短い時間で終わらせたそうです。

この日の天気は雨の予報で、誕生日会が終わった直後から降り出しました。井亀さんは「ふくちゃんのお誕生日を天の神様も祝ってくれたと思います。スタッフは引き続きふくちゃんの健康管理に力を入れていくので、応援どうぞよろしくお願いします」と締めくくりました。

誕生日会のリポートの後編では、プレゼントされたごろごろローラーについて詳しく紹介します。

ふくちゃんの生い立ちや結核の治療については「ボルネオからやってきたゾウ「ふくちゃん」物語」をご覧ください。

ボルネオからやってきたゾウ「ふくちゃん」物語

広島・福山市立動物園

1978年に福山市が私立動物園を引き継ぎ開園した動物園です。緑の木々など四季折々の自然環境に恵まれた丘陵に位置しています。 大きな動物園ではありませんが、動物との距離が近く、動物の息遣い、匂い、表情等が間近で感じ取れる動物園として多くのお客様に親しまれています。

所在地: 〒720-1264 広島県福山市芦田町福田276−1
電話: 084-958-3200
FAX: 084-958-3022
ホームページ: http://www.fukuyamazoo.jp/

広島・福山市立動物園

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福山市立動物園はふくちゃんの結核の闘病を支えるためのクラウドファンディングを2018年10月〜11月に実施。結核の検査キット、暮らしを豊かにするエンリッチメントアイテム、機械式ミストの設置などへの支援が目的で、931人から749万3000円が集まりました。

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